- アストンマーティン・レーシングがル・マン24時間レースにVantage GTEで参戦、GTE ProおよびGTE Amの両クラスで勝利を目指す
- 世界耐久選手権のタイトル獲得も射程範囲内
- Vantage GTEの高い戦闘力を武器に準備は万全
- 第88回を迎える伝説のル・マン耐久レースは無観客での開催が決定
2020年9月14日、ル・マン(フランス):
アストンマーティン・レーシングは、第88回を迎える伝統のル・マン24時間レースに参戦し、Vantageによる3度目のクラス優勝とFIA世界耐久選手権(WEC)のタイトル獲得を目指します。サルト・サーキットで開催されるル・マンにおいて、アストンマーティンは両クラスともに4.0リッターV8ターボエンジンを搭載する現行モデルのVantage GTEを初投入します。ワークスチームに所属する3台とともに、ル・マンでの初勝利を目指すカスタマーチームからも1台が出走します。
ル・マン24時間レースは、本来であれば6月中旬に開催されるはずでしたが、新型コロナウイルス感染症の影響により9月に延期されました。ル・マン24時間レースの日程が変更されたのは、その長い歴史においてわずかに3回です。さらに、フランス政府によるパンデミック対策として、史上初めて無観客でレースが開催されることになりました。世界でもっとも忙しいピットレーンを見下ろす観客席にファンの姿はなくなりますが、アストンマーティン・レーシングは、世界中でテレビの前でレースのゆくえを観戦する何百万人もの人々に向けて、ダレン・ターナー、ジョニー・アダム、ダニエル・セラによる2017年の優勝を再現できるよう、準備を整えています。
昨年のGTE Proクラスでポールポジションを獲得し、現在のFIA世界耐久選手権(WEC)のGTEクラスでポイントリーダーとなっているニッキー・ティーム(デンマーク)とマルコ・ソーレンセン(デンマーク)は、豊富な経験を備えたリチャード・ウエストブルック(英国)とともに95号車(通称「デンマーク号」)のステアリングを握ります。3人のドライバーの中で、ル・マンの表彰台の頂点に立ったことがあるのは、2014年にGTE Amクラスを制したティームのみです。しかし、今年のル・マンで勝利を収めることは、ティームとソーレンセンにとって大きな意味があります。ライバルの成績にもよりますが、このレースで優勝すれば、あと1戦を残した状態で、世界耐久選手権のタイトルを獲得できる可能性があるからです。
「今度は自分たちが優勝する番だと思っていますので、今年は勝ちたいです」と、ティームはコメントしています。「ここ数年間、ル・マンでは苦戦が続いていたので、現在のマシンの高い戦闘力には大変満足しています。世界選手権のタイトル獲得に向けて、メンタル面でも良い状態を保つ必要があります。今回のレースでは、多くのポイントを獲得することができます。私たちの大きな目標は、ライバルのポルシェの前でフィニッシュすることです。」
ソーレンセンは、次のように付け加えています。「今年のル・マンは、私のキャリアでもっとも重要なレースの1つになるでしょう。積極的に攻めて優勝を手にしたいと思っていますが、選手権のタイトルのことも考える必要があります。周りのことに気を取られずに、レースに集中するつもりです。」
アレックス・リン(英国)/マキシム・マルタン(ベルギー)のコンビには、ハリー・ティンクネル(英国)が加わり、97号車のVantage GTEを走らせます。97号車は、「デンマーク号」のタイトル奪取にストップをかける可能性もありますが、そのためには95号車を抑えてフィニッシュしなければなりません。
GTE Amクラスに参戦する98号車のポール・ダラ・ラナ(カナダ)/ロス・ガン(英国)/アウグスト・ファルフス(ブラジル)組も含め、3台のアストンマーティン・チームは、直近の数週間に繰り返しテストを実施して、Vantage GTEのセッティングを、サルトの高速サーキットに合わせて調整しました。今回のレースでは、14か月以上前にサルト・サーキットを走ったときとは異なるミシュラン・タイヤを履き、サスペンション、ブレーキ、空力セットアップを最適化しています。
98号車には、アストンマーティン・レーシングのパートナーチームであり、今シーズンのGTE Amクラスを盛り上げているTF Sportという強力なライバルが存在します。このチームはサリフ・ヨロック(トルコ)、ワークスドライバーであるチャーリー・イーストウッド(英国)、そして2017年に優勝経験を持つジョニー・アダム(英国)がトリオを結成し、これまでに3勝を挙げてランキングトップのチームと12ポイント差に迫っています。「私たちは、2017年に獲得した世界選手権のタイトルを再び手中に収めるという強い決意を持ってシーズンの開幕を迎えました。それは、いまでも私たちの目標ですが、ル・マンで優勝するというのはまさに私の夢です」と、ダラ・ラナは語っています。彼は、過去に何度かチャンスはあったものの、ル・マンでの優勝経験はありません。
アストンマーティン・レーシングのパフォーマンス部門責任者であるグスターボ・ベテリは、次のように述べています。「今年のル・マンには、最強のドライバーを揃えて3台のマシンを投入します。今回のレースに向けて、私たちは入念な準備をしてきました。やり残したことはありませんが、ル・マンはきわめて過酷なレースですから、私たちが制御できない不測の事態も発生します。今年のレースは季節がずれたため、12時間は闇の中を走行しなければなりません。集中し、適切な戦略を採用し、そして何より走り続けることで成功を手にすることができるでしょう。」
アストンマーティン・レーシング・チーム代表のポール・ハワースは、次のように付け加えています。「ル・マンで戦闘力を高めたいと思ったら、入念な準備と集中力が必要です。今年は、スケジュールが大幅に変更され、関係者全員の安全確保のためのコロナウイルス対策によって気が散ることも多いですから、準備がなおさら重要になります。さらに、ル・マンでは通常の6時間レースと比べて2倍のポイントが与えられるため、良い結果を出せばタイトル獲得につながる反面、悪い結果に終われば、タイトル争いから脱落することになります。プレッシャーに勝ち、それをモチベーションとして活用し、あらゆるチャンスを捉えることが必要です。」
アストンマーティン副社長チーフ・スペシャル・オペレーションズ・オフィサー兼アストンマーティン・レーシング社長のデイビッド・キングは、次のように述べています。「クラス優勝を狙えるポジションでル・マンに参戦できるのは久しぶりのことです。さらに現在は、世界選手権の熾烈なタイトル争いの最中でもあります。タイトルを獲得することは、私たちがWECに参戦した理由であり、ル・マンに参戦する理由でもありますので、このチャンスを確実に掴みたいと考えています。力強いパフォーマンスを示し、トラブルに巻き込まれなければ、5回目のクラス優勝と、2017年以来のタイトル獲得も夢ではないと思います。私たちのマシンとチームは、その力を持っていると確信しています。」
ドライバーのコメント:
アストンマーティンVantage GTE 95号車、マルコ・ソーレンセン(デンマーク):「今年のル・マンは、間違いなく私にとってもニッキーにとっても、キャリアで最も重要なレースの1つとなるでしょう。レースに勝つことはもちろん大事ですが、私たちは世界選手権のタイトルも目指しています。積極的に攻めて優勝を手にしたいと思っていますが、選手権のタイトルのことも考える必要があります。冷静に走って、レースに集中しなければなりません。大舞台に出て行く準備はできています。マシンは速いですし、チームの準備も万全ですので、あとはレースで走るだけです。」
アストンマーティンVantage GTE 95号車、ニッキー・ティーム(デンマーク): 「レースの重要なモチベーションとなっている観客がいないというのは寂しいことですが、ヘルメットをかぶれば自分の仕事をこなすだけです。少なくともレースが開催されて嬉しく思っています。今度は自分たちが優勝する番だと思っていますので、今年は勝ちたいです。ここ数年間、ル・マンでは苦戦が続いていたので、現在のマシンの高い戦闘力には大変満足しています。世界選手権のタイトル獲得に向けて、メンタル面でも良い状態を保つ必要があります。今回のレースでは、多くのポイントを獲得することができます。私たちの大きな目標は、ライバルのポルシェの前でフィニッシュすることです。」
アストンマーティンVantage GTE 95号車、リチャード・ウエストブルック(英国):「耐久レースを走るドライバーにとって、ル・マンは年間で最大のイベントです。今回、アストンマーティン・レーシングに加わることができて、大変に光栄です。このイベントのために、膨大な準備が注ぎ込まれます。他のWECレースとル・マンが異なるのは、時間だけではありません。路面のグリップが高い高速サーキットであることも大きな違いです。ドライバーなら、誰しもこの舞台で走りたいと思っているはずです。ファンの方々が観戦に来ることができなくて大変に残念です、ル・マンを走るドライバーにとって、観客の声援は極めて重要です。しかし、テレビでの中継を楽しんで貰えるよう、全力を尽くします。」
アストンマーティンVantage GTE 97号車、アレックス・リン(英国):「スパ・フランコルシャンでは再び表彰台に立つことができて、最高の気分でした。スタッフとマシンの能力を再び示すことができたと思います。そして、もう一つのチャンスである、最高の舞台がやってきました。観客がいないため、これまでのレースとは違った雰囲気になると思いますが、それでもル・マンは、耐久ドライバーであれば誰もが勝ちたいと思う特別なレースです。一緒にこのマシンを走らせるマキシムとハリーは、最高の相棒だと思います。勝利のために必要なすべての要素は揃っています。もし勝つことができたなら、世界選手権のタイトル争いに復帰することができるでしょう。」
アストンマーティンVantage GTE 97号車、マキシム・マルタン(ベルギー):「ル・マンは、年間で最大のイベントです。厳しい戦いになることは分かっています。タイトル争いは拮抗しています。今シーズンは、ほぼすべてのレースで表彰台争いをすることができているので、今回も表彰台獲得に向けて全力を尽くします。観衆がいないことが残念です。今年のレースは、いつもとは違ったものになるでしょう。たとえ観客がいなくても、レースがキャンセルされるよりはましですので、今回のイベントを大変楽しみにしています。これまで多くの作業を積み重ねてきましたので、スタートから素晴らしいパフォーマンスを発揮できれば良いと思っています。長いレースになりますが、チャンスは十分にあります。」
アストンマーティンVantage GTE 97号車、ハリー・ティンクネル(英国):「ル・マンで、アストンマーティン・レーシングのために走ることができて、英国人として誇りに思います。これまで、数多くの偉大なドライバーが、アストンマーティンと共にレースに参戦しています。マシンの戦闘力が頂点に達したこのタイミングで、チームに加わることができて幸運です。チームの準備は万端で、マックスとアレックスとはすぐに仲良くなりました。Vantageは、ここ数週間繰り返したテストにより、1年でもっとも重要なこのレースで、トップを走る能力を備えていると確信しています。」
アストンマーティンVantage GTE 98号車、ポール・ダラ・ラナ(カナダ):「過去に例がない、この長いシーズンの初めに、私たちは2017年に手にした世界選手権のタイトルを再び獲得することを決意しました。その気持ちは、今でも変わっていません。ル・マンで優勝することは、私たちにとって特別な夢です。過去のレースでは、何度か優勝のチャンスがありました。今回、その夢を果たすために必要なマシンとチームは整いました。ロスおよびアウグストとともに、私たちは全力を尽くします。」
ル・マン24時間レースは、2020年9月19日の14:30(中央ヨーロッパ標準時、日本時間21:30)にスタートします。
アストンマーティン・ラゴンダについて:
アストンマーティン・ラゴンダは、エクスクルーシブなスポーツカーとSUVの製造を専門とする、ラグジュアリー・オートモーティブ・グループです。アストンマーティン・ブランドは、最先端の技術、卓越したクラフトマンシップ、時代を超越したデザインを融合することにより、Vantage、DB11、Rapide AMR、DBS Superleggera、新型SUVのDBXといった先駆的なモデルを生み出しています。英国のゲイドンを拠点とするアストンマーティン・ラゴンダは、ラグジュアリー・カーを設計、製造、輸出し、世界51か国で販売しています。
ラゴンダは1899年に、アストンマーティンは1913年に設立されました。この2つのブランドは、1947年にデイヴィッド・ブラウン卿が買収して統合されました。